賛同できるブログを見ましたので掲載します
宋さんの本はほぼ読みましたが、日本人として本当にそのとおりと思います。
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1.論長論短 No.60
安心して日銀を出られない福井さん
宋 文洲
日銀総裁が決まらないまま、福井さんが元日銀総裁になりました。以前の約束
もあって任期満了の前日の19日に食事のお誘いをしましたが、「新総裁が決
まっていないので身動きがとれません。決まってからにしましょう」といわれ
ました。
福井さんは富士通総研の理事長をされていた頃、私はよくお邪魔しましたが、
日銀総裁になってから一度もお会いしていません。一国の金融を舵取る人の時
間を気楽に取る訳も行かないと思ったからです。
村上(ファンド)事件の際、福井さんが富士通総研に居た時のファンドへの出
資が問題視され、世間から「ヤメロ」の合唱を浴びました。謝罪しても利益を
寄付しても許されませんでした。
私が福井さんを尊敬する理由は、その考え方の奥深さだけではなく、年齢や立
場を超えて異なる意見を聞く柔軟性にあります。心の鍛錬もせず若者を顎で使
う「先輩」の多い日本では特に貴重な存在です。
その彼が、まだ実績がないどうなるか分からない村上氏のファンドへ出資した
のは、間違いなく若者への期待を表明する行為だと思います。小泉前総理大臣
が堀江氏を官邸に呼び、熱い視線を送ったシーンは今も記録に新しいですが、
改革者は懐疑から人を見ず、完璧な人を求めないのです。
改革者は神様ではなく生身の人間です。若者のその後のミスを予言できるはず
もありません。当時の世論は連日のように堀江氏や村上氏を英雄のように扱い、
二氏が向かう所に投資家が殺到しました。福井さんが許せないならば、二氏を
持ち上げた世論はなぜ涼しい顔して福井さんを糾弾したのでしょうか。
こんな単純な理屈から私は日経ビジネスオンラインに世論に反論するコラムを
書きました。まだ掲載されたままですのでご興味のある方はご一読ください。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20060626/105072/
もう一つ、実はこの時から日銀総裁にふさわしい人材がほかに居ませんでした。
福井さんが辞めたくても辞められなかったのです。彼は国家に責任を持つ大人
として屈辱を背負うしかありませんでした。
あれ以来、福井さんらしい金融政策がかなり弱くなったと感じたのは私の勘違
いでしょうか。いくら芯の強い人間でもあのような重圧を受けると、まったく
動揺しないのはありえないと思います。
政治や世論の圧力で、日銀は利上げのチャンスを逃しました。サブプライムの
嵐が吹き荒れる今、利下げによる対策を講じられないまま、円高が猛烈に進み
ます。利上げすると円高を招くと訴える専門家と政治家には、この現状を説明
してほしいところですが、いつも通り、皆さんは既に批判する側に回っていま
す。涼しい顔をして。
(終わり)