「ウイングアークフォーラム 2017」。11月14日に開催されたウイングアークフォーラム 2017 [東京]では慶應義塾大学大学院教授の前野隆司氏が登壇し、「『働き方改革』と『幸せの経営学』 本当に社員と社会を幸せにする働き方とは?」と題して講演
みなさん、幸せのためになにが必要だと思いますか? 小学生に聞いても「金!」と返ってくることがあるんですけど(笑)。
正解の1つです。金・物・地位を得ることは、幸せにつながります。「やったぁ!」とうれしい気持ちになります。ですが、金・物・地位を得たことによる幸せは、長続きしないんです。これはイギリスのネトル先生(Daniel Nettle)が言っていることです。
(金・物・地位を手に入れると)一瞬、すごく幸せになれます。「やった! ボーナスが出た!」と幸せになりますが、その幸せはすぐ、ジェットコースターのように急降下する幸せだ、ということがわかっています。
私たちの脳はそういうふうにできているんです。もちろん「高い地位に着くことによって社会貢献するための自由度を増したい」というような高尚な理由もあると思いますけど。そうでなく、利己的に地位を目指すと、それによる幸せは長続きしないんです。
利己的な欲……金も欲しいし物も欲しい……そういう欲による幸せは長続きしないように、私たち人間はできているんです。
長続きする幸せは「精神的・身体的・社会的に良好な状態」
一方で、長続きする幸せは、図の右側です。WHOが「精神的・身体的・社会的に良好な状態(Well-Being)である」ことが健康の定義だと述べています。
精神の健康、身体の健康、社会的に安全で安心な良い環境にいること。そういう整った状態にあることが実は長続きする幸せに影響する。これらが、研究によってわかっています。