いくらでも転びなさい、傷は時が過ぎれば必ず治る
北原さんの本に出てきた、加藤タキさんについて調べてみました。
Wikipedia 等より
・1945年3月30日 生まれ
・個性は【人志向】
・日本のコーディネーター。
・難民を助ける会副理事長。
・文化放送番組審議会の副委員長。
・父は元国会議員の加藤勘十、母は社会運動家で元国会議員の加藤シヅエ、夫は建築家の黒川雅之氏。
政治家家族なのですね。
オードリー・ヘップバーン、ソフィア・ローレンをはじめ、海外大物アーティストのCM出演交渉や音楽祭などで活躍したようです。
こんなエピソードがあります。
3歳頃のある日、空襲で焼け野原になった空き地へ、たまたま休みだった母が遊びに連れて行ってくれました。
あちこちに大きな石がゴロゴロ転がっている原っぱで走り出した私は、アッという間に転んでしまいました。
膝を擦りむいて、赤い血を見てビックリした私は、倒れたまま大泣きです。
当然、母が助け起こしてくれるものだと思っていました。
ところが母は、ひざまずいて目線を下げはしましたが、決して手を差し伸べようとはしません。
私は「きっと泣き方が足りないんだ。」と思ってさらに大きな声で泣き叫びました。
でも、いくら泣いても助けてくれません。
仕方なく諦めて立ち上がったその瞬間、母はもろ手で私を抱き上げ、自分の白い服が血で汚れるのも構わず「大丈夫。痛いの痛いの飛んでいけ、ちちんぷいぷい!」と抱きしめてくれました。
その光景は、今でも私の心の記憶に鮮明に刻まれています。
母には「自立心が育つ前に、親である自分たちが死んでしまったら、困るのはこの子だ。」という危機感が強くあったのでしょう。
そして、私に「いくらでも転びなさい。傷は時が過ぎれば必ず治るの。立ち上がってはまた転んで、痛い思いをして覚えたことは生涯の宝物よ。人生は自分の足で歩いて行くのだから」と。
また「世界には青い目の人や真っ黒な肌の人、いろんな人がいるけれど、ケガをすれば皆、同じ赤い血を流すのよ。そして、あなたと同じように、しょっぱい涙を流すのよ。」と言いました。
この言葉は、長じてどこの国のどういう立場の人にでも物おじせず、人対人として向き合い、会話できるように、私を育ててくれました。
どうですか、素晴らしいエピソードと思いませんか?